「一般建設業許可」と「特定建設業許可」は、建設業許可の種類であり、工事の規模や下請けへの発注額に応じて使い分けられます。以下に、両者の主な違いを詳しく説明します。
1. 下請け契約における金額の違い
- 一般建設業許可
- 発注者から直接請け負った工事を下請けに出す場合、1件あたりの下請け契約金額が4,000万円未満(建築一式工事では6,000万円未満)である場合に適用されます。中小規模の工事が対象です。
- 特定建設業許可
- 発注者から直接請け負った工事のうち、1件あたり4,000万円以上(建築一式工事では6,000万円以上)の下請け契約を行う場合に必要な許可です。大規模な工事や下請けに多額の費用をかける場合に適用されます。
2. 許可を必要とする工事の規模
- 一般建設業許可
- 比較的小規模から中規模の工事を行う場合に取得される許可です。自社で工事を行う場合や、下請けに出す工事が上記の金額未満であれば、この許可で十分です。
- 特定建設業許可
- 大規模な工事を請け負う場合、特に下請けに多額の工事を発注する場合には、特定建設業許可が必要です。
3. 技術者や経営管理者に関する要件
- 一般建設業許可
- 専任技術者が必要ですが、特定建設業許可ほど高い要件は求められません。例えば、実務経験だけでも許可を取得できるケースがあります。
- 特定建設業許可
- より高い技術者資格が求められます。専任技術者については、一定の資格(1級施工管理技士など)や、特定の工事において十分な実務経験が必要です。また、経営管理責任者も特定の実務経験や経営管理能力が問われます。
4. 財産的基盤の要件
- 一般建設業許可
- 比較的緩やかな財務基盤が求められます。自己資本や経営状況が安定していることが基本条件です。
- 特定建設業許可
- より厳しい財務要件が求められます。具体的には、一定以上の純資産額(たとえば、建設業法で定める基準)を持っていることが必要です。これは、大規模工事に対応できる企業の信用力を確保するためです。
5. 適用される企業規模
- 一般建設業許可
- 主に中小規模の工事業者が取得する許可です。大企業でも特定の条件下では一般建設業許可で対応可能な工事もあります。
- 特定建設業許可
- 大規模工事や多額の下請け契約を伴う企業が取得する許可です。大手ゼネコンや規模の大きな企業が特定建設業許可を取得していることが多いです。
6. 許可が適用される業種
- 両方の許可は、建設業の業種ごとに適用されます。たとえば、土木工事業や建築工事業、電気工事業などで「一般」と「特定」の両方の許可が存在します。
まとめ
- 一般建設業許可:中小規模の工事を請け負う場合や、下請けに発注する工事が4,000万円未満(建築一式工事の場合は6,000万円未満)の場合に適用。技術者や財務要件は特定建設業許可ほど厳しくない。
- 特定建設業許可: 大規模工事を請け負い、下請けに4,000万円以上(建築一式工事では6,000万円以上)を発注する場合に必要。より高い技術者資格や厳しい財務要件が求められる。
このように、工事の規模や内容に応じて許可の種類を選択することが重要です。